在間扶美子あて 32・3・1 [勝野睦人書簡集]
(在間扶美子あて)
お便りありがとうございます。僕の詩がとおいところで、あなた
のような、ひとりの共感者をもったということーーそれはうれしい
し、不思議なことです。
作者と作品とは別々に生きていて、作品は、作者の知らないとこ
ろで、勝手に悪戯をしているーーそんな気もします。
「言葉」はずるくて、いじわるです。本当の「意味」からすぐ抜
け出してしまう……。そういう彼等のよい先生になること、それが
詩人になることかもしれません。
でもやっぱり「言葉」は通じる。僕の詩も、どこかの岸には、か
ならず流れつくのだーーと、そんな自信もわいてきました。では
32・3・1
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