VIRGINITE [勝野睦人遺稿詩集]
VIRGINITE
純潔は
あたしのしみ お母様が
あたしのシュミーズの上に いつか澪した涙
あそこだけをあたしは恥じねばならない
掌で わけもなく蓋いかくして
純潔は
あたしのひび 粗相して
お母様があたしを「おんな」に産んだ 傷痕(きずあと)
あそこから
いつかは割れるにきまっている
脆い あたしの運命が
純潔は
あたしの暗闇(くらがり) たわむれに
あなたがたが小石を投げこむ 祠
ガーベラの花束や いびつな愛を
そのなかで
いつも躓いてばかりいるのが あたし
躓いても 転んでも
声はころしていなければならない
<だが>
<あたしの一生がなんだろう>
<あたしは><汚されるために張り詰めている>
<キャンパスの布だ>
× ×
純潔は 校庭の外れに
掃きのこされた一枚の落葉
誰か来て
いっそのことはやく拾い上げてくれればいい
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