洗濯物のうた [勝野睦人遺稿詩集]
洗濯物のうた
そそうした 子供の小便のように
貧困がきいろくしみついている きみらのくらしよ
物干竿はすべをうしない きみらのくらしの舳先(へっさき)から
けさもかなしみの旗をかかげる かかげたもののふるだけの
気力もないびらんとしたびんぼうの紋章……
習いはじめの小学生の あてどなくさぐっていくabcd……くっ
つきすぎたり かしいだり ちぎれそうになったりしながらとりと
めもなくつづっていくefg………それがきみらの生存の 忠実
な筆記だ
ずろーす しゃつ ずろーす しゃつ ぱんつぱんつぱんつ
ずろーす しゃつ ずろーす しゃつ ぱんつぱんつぱんつ
だれにひけらそうとするでもない
こうして薄日にかざしては
色褪せたみずからのしあわせの数を
ふしょうぶしょう
たしかめてみるのだ
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