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育男あて 一二・十三   (その2) [勝野睦人書簡集]




 「旅人かへらず」はいかがでしたか。あの詩集だけは僕にはわか

りすぎる程わかる。詩人が旅人であるという意味は以外に深い。決

して陳腐な言い草とは言えないようです。旅に出るとは生活を失う

ことです。生活者としての自己を放棄することです。人間との、所

謂人間的な交際をたち切ることです。従って僕には「道連れの旅」

などというものは考えられない……。旅において僕たちは本質的に

「観想的」①です。旅人は「為す人ではなくて見る人」②です。ここに

「旅人かへらず」を解く一つの鍵があるような気がする。

  女が人形になるせつな

そんな詩行がありましたね。その刹那はとりもなおさずこの作者

が、「為す人」から「見る人」へと移転する刹那ではないのかーー

そんな気がします。











以下、その3へ続きます。

便宜上わけさせてもらいました。註も適宜にさせてもらってます。

 ①②は三木清氏の言葉。



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